演出家・振付家より


演出・ごまのはえより

 私たちの「チェーホフの御座舞」は当初の予定を大きく外れ、とんでもない着地点を見出しつつあります。こうなった理由は上演台本を作成するにあたって、チェーホフの「サハリン島」を一番の下敷きにしたからです。サハリン島の歴史はそのまま日本とロシアの、そして沢山の少数民族の哀しみの歴史です。1890年にこの島を訪れたチェーホフは、この本のなかでロシア人について日本人について詳細に書き記しています。その緻密な調査の仕方から彼の人間に対する信念と希望を感じとることができます。「チェーホフの御座舞」ではこれまで日本ではあまり注目されてこなかったチェーホフの一面を楽しんでもらえると思います。是非お越しください。


振付・坂本公成より

 「演劇」と「ダンス」と「落語」?!!。この破天荒な組み合わせを想い着いた「ごまのはえ」くんの広げた座布団に乗っかって、今「樺太」上空辺りを飛んでいます。「語り」の芸から、「動き」の芸まで演劇の射程に収めようとする彼の「まなざし」の拡さも驚きですが、それ以上に「驚き」なのは現実の社会の動きですね。「ごま版チェーホフ」のテクストと出会ってからあれよあれよという間に、彼の視点に沿って現実が動いていく。
 ロシアの大統領まで動いちゃった。ある意味「彼はツイている人だなあ。」と思います。
 ともあれ「現在」に生きている身体の「肌理」を作品に落とし込めたらと、格闘中です。