演劇の一大集積地・京都。世界有数の多彩な舞台活動が繰り広げられるこの町で、第26回国民文化祭・京都2011の「現代劇の祭典」が開催されます。“演劇”という活動の意味が問い直される今、その“真価”に迫る演目の数々。次なる時代に向けての新たな“幕開け”を、どうぞお観のがしなく。
期間:平成23年10月29日(土)~11月6日(日)
会場:
京都府立文化芸術会館(京都市上京区寺町通広小路下る東桜町1)
「現代劇の祭典」
企画委員会委員長
椋平 淳
演劇の‘都’にようこそ。京都はご存じのとおり、能・狂言や歌舞伎といった古典芸能から、新劇や小劇場、さらには児童・学生演劇や一般参加型公演まで、さまざまな舞台が繰り広げられてきた、また現在も絶え間なく上演されている演劇の一大集積地です。これほど多彩な舞台活動をいとも簡単に‘一望’できる地域は、世界でも数えるほどしかありません。開館40年以上の歴史を持つ京都府立文化芸術会館は、そうした多様な作品が数多く演じられてきた劇場の一つであり、この秋、この会館を拠点として、第26回国民文化祭・京都2011「現代劇の祭典」が開催されます。全国公募によるバラエティ豊かな6団体の上演を中核に、にぎわいを演出するロビープログラム、府民参加の構成朗読劇、京都の演劇人が大集結する企画委員会プロデュース公演など、注目の演目が目白押しとなっています。
演劇にはなにができるのか?そもそも、演劇とはなんなのか?こうした問いかけが、とりわけ今年は多くの場面で生まれています。ほかでもなく、「3.11」の衝撃により、演劇人だけでなく一般の人々の中でも、演劇という営みの意味が問い直されているのでしょう。
いったん‘幕’が上がれば、いや上がる前から、割り振られた役の大小にかかわらず、誰もが各自のベストをつくす。これが、その舞台に関わる人間が行うべきことのすべてであり、そうして初めて、その作品がなんらかの力を観客に訴えかけるのでしょう。俳優やスタッフという個々が集まった‘座’という小さなコミュニティから、観客というより大きなコミュニティへと波及していくエネルギー。その力を信じ、そしてそれが日本全体へと波及する希望を抱きながら舞台を創ること―これが、「震災後」という新たな‘戦後’の始まった2011年、演劇という営みを通して「国民文化祭」と名付けられた取り組みに関わる人間が、最低限ふまえるべき姿勢だろうと思います。同時に、生々しい記憶を生んだこの年に開催される「現代劇の祭典」が、次なる時代に向けての新たな‘幕開け’として華やぐことを、心から願っています。